永田萌展へ
永田萌さんと言えば、カラーインクを使って妖精を描くイラストレーターというイメージ。
私の中学時代からの愛読書、「詩とメルヘン」でなじみの深いイラストレーターです。
※「詩とメルヘン」(1973年創刊2003年休刊)はやなせたかしさんが編集長で30年間出版されましたが後に休刊。
現在は「詩とファンタジー」が近いイメージで出版されています。
私が当時夢中になって読んだ雑誌です。
また、切手デザインや商業広告にもイラストが多用されているため、
誰でも目にしたことがあるのではないでしょうか。
最近は永田さんの絵を見ていなかったので、
私の中では、かわいい妖精の絵をきれいな色で描くメルヘンイラストレーター、
とにかく甘くかわいい絵を描く方というイメージがありました。
でも実際に本物の絵を見て相当に驚きました。
永田萌さんって天才ではないだろうか
と思ってしまったほど。
展示会の絵はカラーインク以外の画材で描かれた絵がたくさんありました。
カラーインクは発色はきれいなんですが、極度の退色性があります。
要は光に当たると色が変色してしまうのです。
それでアクリルガッシュ、リキッドでも絵を描かれるようになられたとか。
永田萌さんのカラーインクの美しい絵の世界が、アクリルに画材を変えることで、
より美しく、より色鮮やかに、そして何より強く輝く絵になっていました。
そう、美しい世界がパワーアップしているのです。
すごい。
更に、着物の仕事をされたのをきっかけに、絹に染料で絵を描かれた作品も多数展示されていました。
画材を染料に変えても、永田萌ワールドが全開でした。
画材を変えても同じ、いやもっと上のクオリティに仕上げる力。
画材としては難しいカラーインクを長年自在に操ってこられた永田萌さんだからこそ、できることかもしれません。
テーマは妖精と花、風景というのは一貫しているのですが、
その表現力、細部まで描きこまれた描写力、絵全体をまとめる構成力。
卓越した技術で可憐な妖精ワールドが美しく表現されています。
ずいぶん前から活躍されている大御所ながら、
いまだ進化し続けている永田萌さんの絵を見て、本当に脱帽しました。
アンパンマンの作者、やなせたかしさんが、
永田萌さんがイラストレーターとしてデビューされた当時、
永田さんのことを「カラーインクの魔術師」と表現されたそうですが、
まさに色の魔術師だと思います。
こんな才能のある方はそうそういないのではないか、
そう強く思った展示会でした。
福岡県立美術館で7月8日(日)まで開催中ですので、
皆さんも永田萌さんの絵に魅了されにお出かけになられてはいかがでしょうか。
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